はじめに
あなたと一部の遺伝子型が一致した方では、今までのゲノム研究から以下の疾患のリスクが高くなる傾向があります。 初期症状に注意して生活するとともにこまめな検診を心掛けることで、あなたの健康維持に繋がります。 前立腺がんなど男性疾患特有の疾患が女性を対象をした検査でもレポートに記載されることがありますが、これは遺伝子多型を元にした推定であり実際に罹患することはありません。2000年代のはじめから、数千〜数万人を対象とした大規模な遺伝子解析研究(GWAS: genome-wide association study)が世界的に実施されています。これらの研究はGWAS Catalogにまとめられており、そのなかでも日本人もしくは東アジア地域で裏付けがなされている疾患を選定し、あなたの遺伝子型を参照して罹患リスクを推定しています。疾患のリスクは遺伝子多型だけでは決まらず、生活習慣によっても大きく変動することが知られておりますので、健康増進の目安としてお役立てください。遺伝子多型の表記(A/Tなど)は今日のゲノム解析で世界標準として利用されている“GRCh38”と呼ばれるヒト参照配列を基準として表記しているため、過去の研究や他の遺伝子検査の表記と一致しない場合があります。
01.
Circos プロット
ゲノム上で疾患と関わりのある領域を示しています。
疾患:
2型糖尿病
症状:
口渇感、頻尿、眠気、かすみ目
診断:
血糖値、HbA1c
リスク:
肥満、糖分の多い食事
マーカー:
なし
疾患:
シェーグレン症候群
症状:
口または眼の乾燥、関節の痛み、手足の指の蒼白
診断:
唾液腺もしくは涙腺の病理検査、唾液分泌能の検査、涙液分泌能の検査、自己抗体の検査
リスク:
不明
マーカー:
なし
疾患:
ネフローゼ症候群
症状:
食欲不振、浮腫、倦怠感、尿の泡立ち
診断:
尿蛋白、コレステロール値、腎生検
リスク:
アミロイドーシス、がん、糖尿病、肥満、血管炎疾患、ウイルス感染、NSAIDS
マーカー:
なし
疾患:
川崎病
症状:
眼球結膜充血、口唇の紅潮といちご舌、発疹・BCG接種部位の発赤、手の紅斑と腫脹、頚部リンパ節腫脹、心臓の合併症
診断:
診断基準に準じる、心電図検査、心臓の超音波検査
リスク:
不明
マーカー:
なし
疾患:
潰瘍性大腸炎
症状:
粘血便、下痢、高熱、腹痛
診断:
下部内視鏡検査
リスク:
不明
マーカー:
なし
疾患:
脳動脈瘤
症状:
ほとんどは無症状
診断:
造影CT、造影検査、MRI
リスク:
高血圧や喫煙、遺伝
マーカー:
なし